AIには出来ないことは?〜一粒の葡萄から始まる表現活動〜

「わあ、おいしそう!」

学生たちとの「図工科指導法」の授業。

学生たちの前に、一房の葡萄を置きました。

それだけで、学生たちの目は釘付けです。

まずは、じっくり観察。

そして、一粒を手に取ります。

形は? 色は? 手触りは?

鼻に近づけて、香りを確かめます。

そして、パクッ!

口いっぱいに広がる甘さ。

さあ、ここからが本番です。

絵の具を混ぜ合わせ、自分だけの葡萄色をつくります。

赤、紫、青、茶色……。

一粒ずつ、じっくり描き進めていきます。

出来上がった作品は、実に個性的!

同じ葡萄を見て、同じ絵の具を使っているのに、どれ一つとして同じ絵はありません。

ある学生は、こんな感想を寄せてくれました。

「一粒のブドウにあんなに沢山の色があるなんて、初めて知った。今まではブドウを描くとしたら、紫色だけを使っていた。」

さて、ここで一つの疑問。

「AIには出来ないことって、何だろう?」

AIに「葡萄の絵を描いて」と頼めば、あっという間に見事な絵を描いてくれるでしょう。

でも、実際の葡萄を手に取り、その重みや冷たさを感じ、香りを嗅ぎ、甘さを味わう。

そして、その体験をもとに、自分の手で色をつくり、一粒ずつ描いていく。

そこには、出来上がった絵だけでは分からない、豊かな学びがあります。

大切なのは、葡萄そっくりに描くことではありません。

自分の五感で感じ、自分で考え、自分なりに表現すること。

AIがどれほど進歩しても、このような実体験を通した学びの価値は、決して失われないと思います。

これから教師を目指す学生たちにも、そんな表現の楽しさを伝えていきたいものです。

一粒の葡萄から、実に豊かな表現の世界が広がりました。

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